桜ノ雫 ~記憶編~





「雪莉が来た事で

全てがごちゃ混ぜになった…」




輝は静かに頷いた。




「そしてその何ヶ月後かに

遥達が来た。

遥達が来るまで俺は

信じていたのかもしれない。

ずっと続く日常を…。

遥達が来てまた俺は思い知った。

ずっと続く日常なんてないとに…」




そうだね…。



俺もずっと続く日常を信じていたいよ。




「その日を境にまた予知夢を見始めた。

雪莉が死ぬ辛い夢を…。

どう抗っても抗えない運命をまた

…思い知らされた」




「…じゃあ輝は遥達が来て

動き始めたの?」




「そう言う事になるかな…。

遥達が来た日の夜琶音と琴音に

全てを話した。

すると二人も驚いていたよ…」



「その時から俺が守護者だって

知ってたの?」



「どーだろ。

分かっていたのかもしれない。

でも分かっていなかったのかも

しれない…。

曖昧だった。

でも優希似合った時

俺の歯車が全て回り出した」




「…その時の俺は全て記憶がなかった。

なのにどうして二人の事

憶えていたのか教えてくれるよね?」




「…それは」




初めて輝が息詰まった。



言いにくい事あるいは…。




「…能力だよ」