桜ノ雫 ~記憶編~




優希(side)



「輝。

こっちは準備できたよ。

後は爆発させるだけ」




「了解〜」




今日の明け方から陰狼の家の周りにある結界札を破壊するために二人で爆発の準備をしていた。



これは突入する時に使うもの。




「…さて次は」




「輝…何考えてるの?」




昨日から様子がおかしい。



輝はもしかするとまた…。




「優希こそあんまり嘘はダメだよ?」




っ!?



…そうだね。



俺はどれほどの嘘をみんなに今吐いているんだろう…。




「それにもう隠し通せない。

まぁ、それは俺も同じだけどね〜」




「…」




「隠し通せなくなる前に

決着を付ける…」




「輝…やっぱり…」




輝は人差し指を唇の前に立てた。




「優希には隠すつもりはないけど

今はちょっと待ってくれないかな…」




輝の言葉一つ一つで俺の中のもやが一つずつ取れていく。




「…輝は元々俺と二人で

行動するつもりだったんじゃない?」




輝は驚いたように目を輝かせた。




「雪莉をこっちに入れていたのは

遥を試したかったから。

でも『試した』という言葉とは裏腹に

あなたは遥は雪莉と組むということを

心では断定していた。

ということはあなたは元々

俺と二人で組むつもりだった…

…でしょ?」