桜ノ雫 ~記憶編~



遥(side)



このままここにい続けるのはまずい…。



そろそろ俺の妖力も切れそうだ。



結界を張る時雪莉の負担にならないように俺も妖力を流した。



ただ雪莉の妖力が全く減らないわけじゃない。



そろそろ時間の問題だ。



ここでじっとしているわけにもいかない。



どうする…!?



俺が囮になるか?



それではすぐに捕まってしまう。



そうすると雪莉が無防備になり、すぐにまた陰狼の元へ連れて行かれる。



それだけはダメだ。



だがこのままでいても何もならない。




「…雪莉頼みがある」




「…止めてもダメなんでしょ?」




「っ!」




雪莉は悲しい顔をして俺を見つめた。




「囮…になるつもりでしょ…?

お願い…無茶しないで…」




能力を使っているわけではない。



なのに雪莉は俺の考えていることが分かった…。



それは嬉しい反面どこか切なくなる…。




「無茶はしない…。

……待っていて」




俺は今できる精一杯の『ありがとう』を込めて伝えた。




「うん…」




俺は最後に少し強く抱きしめると雪莉から離れた。