桜ノ雫 ~記憶編~



全てのだいだらぼっちが汚れているわけではないのだけれどだいだらぼっちは見た目からして恐れられている。



何者とも言えない獣の顔に人の体。


そしてその姿は透けて体の色は様々。



体の中には黒い邪気がうごめいている。



これが堕ちた神の姿。



本当のだいだらぼっちは中で邪気がうごめいていない。



そして顔も人の顔。



堕ちた神の姿はだいだらぼっちでもだいだらぼっちじゃない。




「…来た」




遥はそう呟いた。



そして遥は身構えてある一点を見た。



私もその一点を見た。




ドンッ

ドンッ


足音が辺りに大きく響く。



心臓の音が大きくなっていく。



すると突然足音が消えた。




「「 っ!! 」」




足音が暫く止んだ後だいだらぼっちがしゃがみ私たちの目の前に現れた。



闇に染まった獣の目は憎しみ憎悪全てがつまっていた。



遥は片方の手で私を引き寄せた。



詰まり包み隠されるような体制になった。