桜ノ雫 ~記憶編~

雪莉(side)



私には生まれた時から五つの力がある。



それはお母さんから受け継いだ桜九尾の力。



一つ目は生き物と話す力。



二つ目は千里眼の力。



三つ目は絶対聴覚の力。



四つ目は予知能力。



五つ目は心を映す力。



桜の花びらに基づいてだって昔聞いたことがある。



桜九尾にとっては五つの力と桜は紙一重なんだって。




私は静かに目を開けた。



多分目は桜九尾の目。



自ら輝く桜色のその目には三日月のリングが入っている。




はじめはこの目は大嫌いだった。




『バケモノ!

こっちに来るな!!』




『消えろ!!』




『二度とこの村に降りて来るな!』




私が昔この目になってしまったせいで村人にバケモノと言われ石や斧や木の棒やらたくさん投げられた。



輝はその攻撃から私を守ってくれて大怪我を負った。



それ以来この目は嫌いだった。




『見ないで…!』



『何故?』



『こんな目見て欲しくない!』




あの日この目を見られそうになって私は必死に抵抗した。