気がつくと雪莉の目から涙が流れていた。
でもそれは静かに流れ落ちるだけですすり泣く音は聞こえなかった。
「ねぇ…。
今年は《みんな》で
クリスマスパーティできるかな…?」
俺は何も答えられなかった。
雪莉は冬紀が言ったようにこの世界で輝に会いまた輝のいる世界の温かさを知ってしまった。
「この世界は酷すぎるよ…!
どうして私たちばっかりこんな業を
背負わないとダメなの!?
ただ幸せになりたくて
静かに生きてきただけなのに!」
っ!
俺は咄嗟に雪莉をぎゅっと抱きしめた。
雪莉は溜め込んでいたものが爆発した。
「雪莉…。
一つ頼みがある…」
雪莉はそっと涙の溜まる目で俺を見つめた。
「雪莉がこういう涙を
人にあまり見せないのは知っている。
だが、そんなことを続けていては
いつかあんたが壊れてしまう。
…だから俺の前では
涙を堪えないでくれ…」
「っ…」
そのあと雪莉は静かに声を押し殺して泣いた。
