「…遥は……。
約束を守って…くれ…る?」
悲しい目で雪莉は俺を見つめた。
雪莉も輝が死んだ時の映像が流れたのだろう。
「俺は雪莉から離れたくない…。
でも俺も不安なんだ。
だから俺がいなくなってしまう
その時まで雪莉から離れない」
守れない約束はできない…。
なのに俺はあの時現状をうまく理解していなかった。
もしこの呪詛に負けた時は強制的に俺は消える。
その時のことを考えると『ずっと一緒』は無理なこと。
雪莉は一つ間を置いて小指を出した。
「大丈夫だよ。
私が遥を消えさせはしない。
私が遥を繋ぎ止める紐になる」
そしてもう一度小指を絡めた。
「繋ぎ止める紐?」
「うん♪」
「ありがとう…」
いつからなのだろう。
幸せになることを知らなかった俺が今は毎日が…こんな状態でも毎日が幸せに感じられる。
雪莉が居るから…?
ユウや冬紀や優希や輝達に出会ったから?
誰にだって幸せになる権利はある。
難しいのはそこに気づくまでの自分だ。
「ねぇ遥。
もうすぐでクリスマスだね…」
クリスマス…?
木に飾りをして赤い服を着た人がプレゼントを渡し回る?
「去年はみんなで
クリスマスパーティしたよね。
輝がケーキ買い忘れちゃって
冬紀がラムレーズンのアルコールに
酔っちゃって…」
雪莉は静かにポツポツと話し出した。
「輝って面倒くさがりで
ツリーに飾り付けする時も
面倒くさいって笑いながらも
一番楽しそうに
『また来年もみんなでやろっ♪』って」
