心臓がっ。



俺は雪莉を自分から離した。



呻きながらしゃがみこむ俺に駆け寄って来ようとした雪莉を制した。




「っ近寄るな…!」




〝殺セ…〟




今近づかれたら本当に殺してしまうかもしれないっ。



あの夢のように…。




「っ!!」




心臓が圧迫されてうまく息が出来ない。



俺は心臓のある胸の部分を押さえた。



心拍数が凄く上がっている。




「ぐぅっ」




声にならない唸り声が漏れた。



一方頭の中でもずっと殺セの声が聞こえて頭痛…。




〝殺セ。

桜九尾ヲ殺シテシマエ。

全テ消シテシマエ〟




俺はっ。



…俺は絶対に雪莉を殺さない。



みんなを殺さない。



お前の言いなりには絶対にならない!



そう心で叫んだ時だった。



何か舌打ちのような音がしたかと思うと心臓を圧迫されいたものがスッと取れ頭痛もだんだん治って行った。



全て治まったが息はまだ上がったままだった。



俺はそのままの体制で息を整えていた。





『私は何もできない…。

こんな力私は大嫌い。

誰も守ることのできない力なんて…』





ふと雪莉が昔言った言葉を思い出した。




「大丈夫だ…」




「え…」




考えていることがどうして分かったのかという顔だな…。




「一時的なものらしい。

それにこれは俺自身が

何とかしないといけない事だ。

雪莉は何も悪くない…」