桜ノ雫 ~記憶編~


「この世界から出るためには

琶音と琴音が必要だよ。

でもその前に…」




「陰狼を倒す…」




輝の説明に遥が乗っかった。




「陰狼を倒すしかこの先に

進む方法がないって事か…」




「陰狼を?!

僕たちは何度も殺されかけたのに?」




遥の言葉に珍しく冬紀が声を荒立てる。




「あぁ。

だが、何もしなかったら何も進まない」




陰狼は酒呑童子と同じくらい強い…うんん。



きっとそれ以上の強さを持っている。




「琶音、琴音。

こっちには後どれくらい居られる?」




「…長くて一週間」




「でも最悪を考えると

…五日」




「それにもし一週間持ったとしても

7日目にはここを出ないと

僕達と遥、ユウ、冬紀の五人は

初めから居なかった事になる」




「詰まり消える…」



「…そうか」




遥はそれからは何も言わなかった。