桜ノ雫 ~記憶編~

みんなの記憶から消えるつもりなの?



私は妖力で小太刀を作った。




「この刀が斬るのは黒き縁。

…優希……」




私は優希の手の甲に小太刀を振り下ろした。



っ!!



小太刀が跳ね返されそうになるくらいに強い力で呪詛に押された。



それに耐えようとしたけど呪詛は小さな結界をまとっているらしく逆に小太刀が砕け散った。



やっぱり一筋縄じゃいかないか。



陰狼の呪詛だもんね。



私は優希の手を握りしめた。




「優希…!」




私は私に残っている妖力を全て流し込み始めた。




「っ!」




私は何度も呪詛に吹き飛ばされそうになった。




「雪莉」




その時だった。




「ア…キ……」




いつの間にか後ろに輝がいた。




「冬紀との約束守ってあげないと」




輝はそう言うと妖怪返りの姿に変幻した後千年桜に片手をついて私を後ろから飛ばされないように支えてくれた。



千年桜から妖力を…?



輝…。




「雪莉を待ってる人はたくさんいる

そして優希を待ってくれている人も

目を覚ますんだ優希…」




輝はそう言うと私の手を強く握った。