そして冬紀の頬に手を当てた。
「冬紀が守ってくれるから…。
遥やユウや輝やみんなが
守ってくれるから少しの
無茶ができるんだよ」
「雪莉…。
君は…もういなくなったりしない…?
また僕らを置いて行ったりしない?」
冬紀は静かに涙を流した。
冬紀の涙を見たのは初めてかもしれない。
「もういなくならないよ…。
私はみんなが大好きだから。
…約束」
私は小指を出した。
「…うん」
冬紀は優しいから。
どんなに辛くても苦しくてもずっと我慢し続けてきた。
「ありがとう…みんな」
「冬紀行きますよ。
雪莉さん優希をお願いします」
「うん!」
私はみんながいなくなったのを確認すると千年桜の周辺に大きな魔法陣を作った。
そして桜九尾の妖怪返りに変幻した。
優希を封じたのは多分邪魔になるとわかっているから。
でも、封じた呪詛は神縛りの呪詛…。
優希…。
私は優希の右手の手袋を外した。
やっぱり…。
優希の手の甲にある私と契約を交わした時の桜の紋様が黒ずんでいた。
そしてそれを中心として黒い鎖の痣が伸びている。
優希は私が記憶を失っている時も自分が最後の守護者だと一言も言わなかった。
