桜ノ雫 ~記憶編~

雪莉(side)


目の前にいた酒呑童子は姿を消した。


今目の前には綺麗な空色の目をした遥が片膝を付けて座っていた。




「遥…?」




「雪…莉……」




遥の優しい顔を見た途端涙が溢れてたまらず飛びついた。




「よかった…。

会いたかったよ…。

…もう会えなくなるって

そう思うとすごく怖かった…」




遥は少し顔を赤らめた後同じようにぎゅっとしてくれた。



私達は暫くそのままでいた。



理由は私が泣き止むのを遥が待っててくれたから。




「遥約束して…。

もう…絶対にいなくならないで…。

もう私も気づかないふりなんて

しないから…。

もう会えなくなるのは嫌なの…」




「雪莉…」




遥はそっと小指を出してきた。




「指切り…約束だ」




「うん…!」




私も小指を絡めて約束をした。



暖かい…。



遥の温もり…。