桜ノ雫 ~記憶編~



酒呑童子(side)




また聞こえる…。



悲しむその声が…。



また誰かの泣き顔を見る…。



もう二度と見たくないと思ったのに…。



…そして分かる。



俺はまた自我を失ってしまう。



この命…。



勝負に賭けてみよう…。



だがその前に…。




〝陰狼時間をもらう〟




「何をっ」




オレはフラッシュを放ち目をやられた陰狼と雪莉の雪莉だけを連れ陰狼の屋敷から逃げた。



暫く逃げ簡単には追ってこられないところへオレはたどり着いた。




そこでシオンの娘を下ろして俺は試す目で話し始めた。




〝シオンの娘…。

一つだけこの体を元に戻す方法がある〟




「え…」




シオンの娘は一瞬目を輝かせた後曇った目をした。




「あなたは何を考えているの?

それをするとあなたはどうなるの?」




痛いところをついてくるな…。



さすがシオンの娘…。