『颯人…。
後はお願いね?』
『シオンっ』
シオン…颯人…。
颯人は絶対にシオンを失いたくないはずなのに…。
シオンも子供達や颯人と離れたくないはずだ…。
オレの体は言う事を効かない。
壊れたカラクリのように…。
狂ったオレが向けた矛先…。
それはシオンの子供達だった。
オレはそのまま刀を振り下ろした。
シオンはそれを予知していたかの様にオレの前に立ち子供たちを庇った。
『あなたがもうこれ以上
罪を深める必要はないよ…。
目を覚まして…』
その時自我を俺は取り戻した。
そして目にしたのは絶望的状態。
シオンの腹部にオレの刀の跡がザックリと残っていた。
それでもシオンは立ち続けオレに手を差し伸べてきた。
『大丈…夫…。
…もう…あなたは…誰も…
傷つけなくて…いい…から…』
消え入りそうな声でシオンは喋り続ける。
『こう…しないと……あなたは…。
目を…覚まさなかった…。
約束は…守った…よ…』
シオンはオレの頬に手を当てるとそのまま倒れた。
シオンの子供達は泣き崩れた。
またオレは失ってしまった…。
『ぐあぁっ!』
心臓が握りつぶされるように苦しいっ。
