「本当…なの?」




〝…あぁ。

オレが封印されたのは

そのせいだからな…。

一度自我をなくすと殺人鬼と化し

依代が滅ぶまで誰それ構わず

殺していく…〟




「っ!!」




頬に涙が伝った。




「お母さんを殺したのも…。

遥を苦しめていたのも…やっぱり

あなただった…」




〝シオンを殺したのは…っ!!〟




涙が止まらない…。



悲しいから?



辛いから?



悔しいから?



うんん。



きっとどれも違う…。




「遥を…返して…」




遥が愛しくて会いたくて…。



また…はにかんだ笑顔や照れた顔や優しい顔がもう一度見たくて…。



遥っ…。




〝…もっと別の何処かで…。

何気ないそんな場所で…。

…もし会えていたなら…

今のこの状況は変わっただろうか…。

あんたと手を取り合うことが

できたのだろうか…〟




そう呟いた酒呑童子の声を私は聞けなかった。



これが遥の選んだ道なのだろうか…。



もう二度と遥会えない…。



遥はそれでも良かったのかな…。



私は何処かで選択(道)を間違えたのかな…。