桜ノ雫 ~記憶編~


雪莉(side)



私が…一体誰なのか。



わからないまま死ぬなんて…。



体から力が吸い取られ力が抜け挙句に激しい電流が流れてきてる。



その時だった。



目の前の岸にいるあの人の目が赤くなった。



困惑した。



何が起きたの?



主様が何かを話してる…。



聞こえないけど口の形だけでわかるかもしれない。




〝計算…通り…で…す。

自ら…の…力の…な…さに

…悔やみ…絶望感を…味…わって…

もら…い……ましょう〟



多分合ってると思う。



自らの力のなさに…まさか昨日言ったことを守ろうとしているの?



でもあれは…。



あの姿は自身が望んだ姿じゃないはず…。



道を間違えたの?



なぜ?



どうして私のために?



あなたは誰なの?




〝それはあなたが

愛しいほど知っているはず〟




っ?!



なに?!



頭のなかに声が!?



この声の主を私は知ってる。




〝あなたは一度逃げた。

暗い闇に押しつぶされそうになった時

抵抗することをやめ闇を許した。

あなたはそれで本当にいいの?〟