桜ノ雫 ~記憶編~


「雪莉さんあの凍っている池の

真ん中に立ってもらっていいですか?」




雪莉は頷き池の上を歩き始めた。



真ん中に差し掛かったところで雪莉の周りに大きな氷のリングが二つ現れ雪莉の周り始めた。



雪莉はそのリングの中に閉じ込められそのままリングは宙に浮かんだ。



俺はこのまま雪莉が消えるのを見ているだけしかできないのか?



しかし、人の姿の俺には何もできない。



陰狼は何かをブツブツと唱え始めた。



すると雪莉の周りに大きな氷のリングが二つ雪莉をリングに閉じ込めるようにできた。



そのままリングに閉じ込められリングごと地上から二メートル離れたところまで上がった。



そして陰狼が唱え終わると雪莉は体を縮こまらせて苦しみはじめた。



っ俺の力じゃ何もできない…。



……鬼の力なら…?




ドクン。



…鬼の力なら…助けられるのか…?




ドクン。ドクン。




雪莉を…助け…られる…。




ドクン。ドクン。ドクン。




…助けたい。




ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。



頭の中に低い笑い声が響いた。



そして視界が赤くなった。



俺が最後に見た雪莉の顔は困惑と悲しみの顔だった。



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