桜ノ雫 ~記憶編~


「優希!!」




僕は気がついたら優希の所に駆け寄っていた。



どうして?



僕は優希を信じていない。



なのに…どうして?




「っ!!

二人とも見て!!

この印」




僕は首筋についていた刻印を見せた。




「間違いありませんね。

これは陰狼の呪詛。

しかし、どうして優希だけに…」




呪詛…。



これを解けるのは雪莉だけ…。




「僕が琶音達に伝えます」




「ユウなにを言って…。

ダメだ。

ユウ一人じゃこの逢魔時に

飛ぶのは危険すぎる!」




「じゃあ誰が行くんですか?

迅速で尚且つ安全なルートは

空だと僕は思います」




っ!




「僕らなら大丈夫です。

一刻も早く雪莉さんのところへ

行かなければ優希が死んでしまいます」




…ユウ。




「俺からもお願い…!」




輝まで手を合わしてお願いしてきた。




「…僕は…!

……ユウ…お願い」




止めたい気持ちもあった。



でも、雪莉と遥に一刻も早く会いたい。




「任されました。

行ってきます♪」




僕はそんなユウの笑顔を見て見送った。