桜ノ雫 ~記憶編~





冬紀(side)



ねぇ。



どうしていつも君は一人で抱え込むの?



ねぇ。



どうして君達はいつも遠くへ行ってしまうの?



あの後君達は僕らを置いて行ってしまった。



ねぇ…遥、雪莉。



僕は…僕等は何をしたらいいの?



…教えてよ。




「…そうか……。

そういうことだったんだ!」




っ?!




「急に大きな声出さないでよ」




「優希…何か分かったのですか?」




「うん。

遥が残した伝言だよ」




「伝言って?」




「まず二つ目の琶音と琴音への伝言。

『これからのことを頼んだ』

これはこの事を二人に伝えて

二人ならすぐにこっちにこれるし

遥達の居場所がわかる」




っ!!



そっか。



だから柄にもなく遺言を残した。




「そして初めに言った言葉…

これは伝言じゃないけど…

『雪莉はきっと俺が守ってみせる』

って言うこの言葉の意味はきっと…」




「優希お願い。

この事を二人に伝えて…」




優希の言葉を遮るように輝が言った。



雪莉を失った輝はずっと涙目。



当たり前だよ。



僕でさえ遥と雪莉を失くして目の前が真っ暗なのに。




「さっきからそうしようとしてる。

でも、妖力がうまく出ない…。

それにさっきから…息が…

うまくでき…な……ぃ…」




その言葉を最後に優希は倒れた。