桜ノ雫 ~記憶編~



「陰狼!!」




嘘…。




「どうして、ここにいるの…?」




「愚問ですね。

私はこの山の主を式にしようと

来たのですよ。

しかし、おまけもいるみたいですね」




「おまけ扱いですか?」




「えぇ。

この主の方が強かったですよ」




「『強かった』?

まさか…そんな…っ!」




嘘でしょ?



この山の主を式にしたなんて…!




「感謝して欲しいくらいですが?」




「何故だ?」




「この主、そこの桜九尾を

欲しがっていましたからね。

もう狙われる心配はありませんよ?」



陰狼はあざ笑うと、唐傘を閉じフード付きの黒い上着の内ポケットから十枚の式札を出した。



そして念仏のようなものを唱えるとそれを遥を中心に投げた。



式札は避ける遥達を追いかけ続ける。




「止めて!!」




「貴女は自分の心配も

したほうがいい」




っ!?




私は初めてあれが十枚ではなく十二枚だと気づいた。




「っ嫌!」



私は飛び避けた。



するとすぐ後ろから別の式札が来た。



私は刀を抜いて斬ろうとした。



でも斬れず刀と刀の一対一の様になった。



しかし式札はまるで動かなかった。