「全くだよ」
と目の前に優希が飛び降りてきた。
その途中で姿を半妖に変化して。
詰まり夢舞の姿へと。
姿は桜色の掛かった菫色の男の人の浴衣。
浴衣には月の刺繍がされてあった。
そして浴衣の上には珍しい黒色のフード付きの浴衣羽織り。
そして少し高めの高下駄。
優希は両手をそれぞれの振袖の中に入れると鈴付きの筆を持って左手だけを出した。
「一気に行くよ?
…空に靡くは鈴の音」
リンッ
あたりに鈴の音が響いた。
「今宵は月夜の星遊び。
常世で見るのは月悪夢。
奏でましょう。
悪魔の旋律。
月悪夢」
歌のように空に絵を描きながら言った優希は決して右手を振袖の中から出さなかった。
優希が書き終わるのと言い終わるのはほぼ同時だった。
その時あたりが淡く光だした。
そしてその場にいた半分の妖怪が倒れた。
「凄い!
優希どうやったの!?」
と、目をキラキラさせる輝。
「へへへ。
俺もタイプは雪莉と一緒でレアなんだ」
「凄いです♪」
「ありがとう♪」
まだ半分残ってるのにマイペースだな。
「おや?
桜九尾だけいただこうかと
思っていたのですが…。
みなさんお揃いのようですね」
っ?!
