今度こそ…。
私は桜白狐の姿へと変化した。
「私は弱くないからね?」
のそのそと出てくる妖怪達に語りかけた。
意識がない妖怪達の目は何よりも怖かった。
〝主様の貢物に持っていく〟
〝抵抗はするな。
命が短くなるだけだ〟
〝一人で我らに勝つつもりか?〟
一人で…。
胸がぎゅーっと握りつぶられるような感覚になった。
《今度は》一人で死ぬのかな?
それでみんなが守れるなら。
「私はケジメをつけにきたの。
甘えてばかりの自分じゃ
大好きなあの人へ申し訳ないでしょ?」
〝愛情なんぞ一瞬のこと、
夢や希望など無いも同然〟
「…そうかもしれない。
でも…、私はその一瞬の愛情
好きだよ?」
〝何故だ?〟
「私はね、家族は双子の
お兄ちゃんだけで他の異性と
関わりを持ったことなかったの。
でも、あの人は…遥は
お兄ちゃん以上に優しくて、
いつも守ってくれて、
無理させちゃってそれで
迷惑をかけちゃって…。
一度私はくらいどん底に落ちた。
その時引っ張りあげてくれたのは
遥なの。
一瞬の愛情でも私はその一瞬の愛情
ずっと大切にしたい」
あれ?
…。
「盗み聞はダメだよ?
…遥」