「では後は任せましたよ?」




「待て!!」




「逃がしません!」




「っくそ!」




急いでユウが追いかけるけど陰狼か唐傘で顔を隠し闇へと消えていった。




「ユウ!

今すぐ冬紀を羽に乗せて!

遥もすぐに乗って!!」




今大声を出すと向こうを刺激するからダメだってわかってる。



でも、




「急いで!!」




訳がわからないといった様子でいる三人に叫んだ。



私がここで囮になれば。



ユウはすぐに頷き冬紀を乗せた。



でも、遥はそばを離れなかった。




「遥…急いで…」




「嫌だ」




っ!!



…やっぱり遥には気づかれちゃったかな…。



なぜかわからないけど遥には私が考えていることが伝わっちゃう気がする。



遥は片手に狐火を作った。



黒と青の綺麗な狐火を。




「…狐火」




狐火は小さく分担し、三百六十度に広がった。



すると今にも襲い掛かってきそうな魔犬が姿を現した。




「雪莉…。

あんたはこの数を一人で

相手にしようとしていただろう?

自分が囮になれば俺達が助かると

そう思っただろ?」




…。




「はぁ」




「この人数でこんなに

相手するのは絶対の確率で無理だよ」




だから私が囮に…。




「まともにやればな」




…え?




「優希…力を貸してくれるか?」




そう遥が呟いたあと服についていた蝶の刺繍が飛び出た。



そして紫色に強くそして淡く光った。



しばらくして目を開けると魔犬達が全て横倒れになっていた。




「ユウ!

今のうちだ。

逃げるぞ雪莉」




え?!




今何が起こって…?



私は考える前に遥に手を引かれ逃げ出していた。