「あんたは俺達の知っている陰狼か?」




「ックックック。

なんのことでしょう?

私の目的はただ一つ。

人間界に降りかかる災いを防ぐ桜九尾

を滅すること」




「っ!?」





「私の望む世界には桜九尾は

邪魔な存在でしかありません」




「あなたの望む世界って…」




「知りたいですか?

いいでしょう。

私の望む世界は妖怪を全て滅し

人と動物、植物だけの世界にすること。

この世には妖怪なんて

汚れた存在はいりません」




「っそんな…」




妖怪を一匹残らず滅するなんて…。




「私にとってそんなことは容易。

しかし、桜九尾であるあなたが

存在する以上それは

叶わぬ夢となってしまいます」




「そんなことはさせない…」




「ックックック。

以前も同じように言いましたね。

しかし、あなたに何ができると

言うのですか?

一度は死んだ身。

そのまま死んでいてくれれば

よかったものを」




『そのまま死んでいてくれればいい』



私の頭にはその言葉が流れた。



…やっぱりそうなんだ。



私がいるから遥が傷つく。



私がいるから冬紀が悲しむ。



私がいるからユウが苦しむ。



全部知ってたよ。