「遥…!

目を覚まして…。

お願い帰ってきて…!!」




私は妖力を遥に流し込んだ。



すると私と遥の周りに桜の花びらが舞い始めそれが私の妖力と混ざりはじめた。



暫くすると遥の額のツノは消えていき目も元の色に戻った。




「っ!?

…雪莉?」




「遥!!

…よかった…。

怖かった。

遥が戻ってきてくれなかったら

どうしようって。

怖かった…」




私は何かの線が切れたかのように泣き始めた。




「…雪莉。

すまない。

猿鬼を見た途端、血が騒ぎ出して…。

止めることができなかった。

いつもならあれくらい

止めることはできた。

だが、何故か今日は止めることが

できなかったんだ」




止めることが…できなかった?




「あぁ。

誰かに憚られたような

そんな感じがしたが…」




憚られた…?



私は涙をぬぐって辺りを見回した。




…気配がない。



消している…。




「っ!!

っ誰ですか?!

出てきてください!!」




空を飛んでいたユウがそう叫んだ。