桜ノ雫 ~記憶編~




雪莉(side)




「雪莉さん…!」




っ?!!




「ユウどうしたの?!

そんなに息を切らして…。

どうして妖怪返りの姿なの?」




寝れずにグダグダしていた私の目の前に窓からユウが入ってきた。




「遥が……!

ついてきて下さい!!」




ユウは私にだけ伝わるようみんなを起こさないように小さな声で、でも凄く焦っていた。



私は頷き近くにあった上着を寝衣の上から肩にかけ外に出た。



その時、カレンも一緒に走っていた。




「雪莉さん!

これに乗って」




ユウはいつかの羽船を出して乗って言った。



私は羽に乗った後も遥から貰っていたネックレスを握りしめた。





「遥に何があったの?」




少しためらいながらも私は知らないといけない気がして聞いた。




「…鬼の血に……。

……酒呑童子の血に呑まれそうに

なっています…。

いえ、もしかしたらもう…」




っ!!!



酒呑童子…。



私のお母さんとお父さんが命と引き換えに肉体を滅ぼした鬼。