桜ノ雫 ~記憶編~




ドクン…。




「ック…」




「遥!!」




「猿鬼って…!

本来ここにいるはずないのに!!」




火傷の深手を負った腕を抑えながら冬紀はいった。



俺は心臓の辺りを抑えながら息を乱していた。




ドクン。ドクン。ドクン。




苦しいっ。



心臓が圧迫されて上手く息ができない。



いつもならこれくらい抑えられるはず…なの…に…。





〝ッキッキッキ。

お前らは何故《鬼付き》の側に

一緒に居られる?〟




っ!




〝ッキッキッキッキッキ。

まぁ、俺だったらそんな奴

関わりたくもねぇな〟




関わりたく…ない…か……。





『近づくな!!

鬼の子め!!』



『お前と関わった俺たちの友達は

お前に関わったせいで死んだんだ!

お前とは関わりたくねぇよ!

このバケモノ!!』





フラッシュバックとはこういうものなのだろう…。



昔の…冬紀達と出会う前の出来事が俺の頭の中に巡った。