朱道は殺し合いをしている。ならばどちらかが死なない限りこの戦いは終わらない。
だから朱道は起き上がる。
それに朱道にとって戦いこそ、生きている感覚を繋ぎとめる唯一の方法だから。
「だけど起き上がるのがやっとのようですね。残念ですが私は君を殺すつもりはない」
「だけどオレはお前を殺す。これは殺し合いだ。どちらか死なない限り戦いは終わらない」
「そう……」
俯きながら残念そうに言う椿だが、顔を上げた時には何かしらの覚悟があり、朱道のように一瞬に消えた。
「あ、つ……」
全身の筋肉が麻痺して、朱道は完全に気を失って意識を絶たれた。
その背後には手刀の構えをしたまま立っている。
「ごめんね朱道。今はまだ殺し合いをする時期ではない。もっと神素について知りなさい。今日はそのために私は来たのだから」
二人とも生きているが、これで本当に今の戦いは終了した。

部屋を出た椿。
取り残された気を失ったままの朱道。
明らかにどっちが勝者で敗者なのかは一目瞭然。
――朱道は昏睡のように気を失い、すぐには目覚めることはなかった……。