「昨日、アオが歩道橋から落ちそうになったところ、助けてもらったんですって」

「なるほど。
歩道橋って、あの青歩道橋?」



頷くと、ふっと笑い声が聞こえた。



「家へ帰るときあの歩道橋は使いますが、落ちる人は初めて見ましたね。
天変地異の前触れかと思いましたよ」



し、失礼な人!

ほぼ初対面のくせに、よく堂々と言えるわね!

その根太い根性、褒めてあげるわっ!!



「悪いなーあーちゃん。
ハルキ口悪いんだけど、別に悪い人じゃないんだ。
ただ礼儀知らずで…」

「先生に敬語使えない真島の方が礼儀知らずだと思いますけどね」



先生に敬語使えない?

先生に敬語使うのが、高ノ宮男子では普通なのか?

高ノ宮高校では別に普通にタメ口平気で皆使っているけど。

先生も何も言わないしね。

先生にタメ口を使うアユが、冷や汗を流していた。



「では、僕はこれで」

「ま、待てーッ!」



帰ろうと踵を返した“表だけ”王子様が帰ろうとしたところ、アックンが止めた。



「何ですか?
僕は真島みたいに暇人じゃないんですけど?」

「折角だし、あーちゃんと仲良くなれば?」



何言っているのアックン!?

仲良くって…。

こんな毒舌表面だけ王子様と仲良くなれるかっつーの!