「死んだよ」




アッサリと、吾妻くんは言い放つ。




死ん、だ…?




「お前と違って小野にいじめられてな。
小学校卒業した後、自殺した」



そうなの…?

そんな小さいのに…。



「中学1年のクラス名簿見た時、小野と同じクラスでさ。
またいじめられるんじゃないかって恐怖して、自ら絶った」



吾妻くんの色なき瞳は、弟さんを亡くしたのが原因だったんだ…。



「アンタはまだマシだよ。
だって信じられる幼馴染が気が付いてくれたから。
弟の場合は、誰も気づけなかった」

〈吾妻くんも?〉

「誰にも言わなかったんだよアイツは。
俺も当時はアイツがいじめられているなんて知らなかったし。
俺の家両親共働きで忙しいから。
誰もアイツに気が付いてやれなかった」




悔やんでいるんだ…今も。

大切な弟さんを助けられなかったことを。



自殺は、確かに救われるかもしれない。

でも、残された人は、ずっと自分を責め続けるんだ。