「アンタの声をなくしたきっかけのシロガネの下の名前が、水川遥希と一緒って、知ったんだな」

〈何で知っているの?〉

「アンタの態度見てればわかる。
わかりやすいから、アンタは」

〈アルバム見たよ。
吾妻くん、私と同じクラスだったんだね〉

「そうだよ。
今更気が付いたんだ。
真島は気が付いていねぇみたいだけどな」



サラッと毒吐くなよ。



〈吾妻くん双子なんだね〉

「そーだよ」

〈お兄さん?弟さん?〉

「弟。
俺と違って大人しい奴だった。
常に家とか学校で本読んでた」

〈今弟さんは?〉

「…」



吾妻くんは黙って人差し指を伸ばし、私に向けた。

ん?



私の視線が人差し指へ行くと同時に、その指が空へ向けられる。

空…?

何故空?

私は弟さんどこ?と聞いたのに。





…もしや。

最悪の展開が頭をよぎる。