「もっと早くこうするべきだったな」 「麗……っ」 なんでなんだろう、私。 なんで。 「つらい思いさせて悪かった」 私のことを抱きしめてくれる、この人のことを。 「ばか……っ」 嫌いになれる、なんて。 忘れられる、なんて。 「みんなのこと、嫌いだなんて思ったことないのに……っ」 思ったんだろう。 無理に決まってるじゃないか。 彼等がたとえ、私を裏切ったんだとしても。 私にとって、彼等が大切な人だってことに変わりはないのに。 「汐乃」 彼がずっと頭を撫でてくれていて。