「シオちゃん、今日も泊まっていく?」



「……そうしたいけど、でも」



「……うん、そうだね」



「電話無理矢理切っちゃったから、どうしよう」



「麗に送ってもらったら、どうかな?

シオちゃん、バイクの後ろ乗れるでしょ?」



「……だけど、麗に悪いし、」



「送ってやる」



「え、でも、」




麗の手が、優しくシオの頭を撫でる。



それだけでシオは気恥ずかしくなったのか少し俯いて、うなずいた。



……もどかしいねぇ。



お互い想ってんのに、繋がらないからな。



あと卒業までちょっとしかねぇのに、卒業したらそれこそバラバラになるぞ。



「ありがと、麗」



ほんのりと赤く頬を染めてそう言うシオに、麗はふわりと微笑んだ。



こんな笑顔、アイツにしか見せない。