「別にっ、そんなの関係ないでしょ」
「麗、シオにはすげー優しいって知ってた?」
シオが、裏切られてすぐ。
ポツリと、俺の前で零したことがあった。
“麗は、優しすぎるから。
だから、泣きたくなる”
「この扱いの差が、姫にふさわしいかどうかだろ」
「ちょっ、何するの!」
奈々の腕を引いて、部屋を出る。
そのまま上から、下を見下ろせば。
「お前等、あんまり汐乃を囲んでやるなよ」
「え~っ、なんでですか」
「汐乃が疲れる」
「総長、シオさんに甘すぎません!?」
いつもより、断然倉庫が楽しそうだ。
「っ、」
俺の隣で、悔しそうに唇を噛みしめる奈々には誰も気づかない。
気づくはずもない。



