「………」 渡したく、ない。 「汐乃」 だって、この紙だと思ったものは。 「……怒るぞ」 写真、だったから。 それに写っていたのは、あの頃の私たちだった。 私が姫の時の、写真だった。 「……汐乃、返せ」 「麗は、」 「………」 「何が、したいの」 これ以上、振り回さないでほしい。 だって、私は。 「……汐乃」 今でも麗が、好きなんだから。 溺れてしまいそうになるから。