「たまには、息抜きしようじゃねぇの」



さっきまでの冷たい瞳が嘘のように、甘い瞳でそう言った彼が、片手で机の横にかけられていたカバンを掴む。



「息抜き?」



「ん~。俺とサボろ?」



サボり、ね。



でもまぁ、たまには良いかもしれない。



「どこ行くの?」



「学校近くのカフェで良いんじゃねぇ?」



そんなので時間つぶせるの?……まあいいか。




「いいわよ。行きましょ」



ホームルームが始まるチャイムが鳴る直前、教室を出る。



そのとき。



「時雨? お前、どこ行くんだよ」



運悪く、授業に出るため戻ってきた龍錬花の幹部と出くわした。



総長の千之麗と、幹部の勢多 凌駕(セタ リョウガ)。



そして。