コンコン、と軽く部屋の扉をノックする。



救護室でも言うべきなのか。



学校の保健室みたいな場所が、倉庫の中にある。



熱ならここだろう、と返事のない部屋の中に足を踏み入れれば、か細い声が聞こえた。



「タク……?」



「……ごめん、タクじゃない」



彼のベッドの隣まで行けば、來唯は目を見開いて。




「シオ、さん?」



「………」



「俺、夢見てますか?

シオさんって、俺等を──」



「……夢じゃないよ」



現実、と言えば。



彼はふわりと笑って、私に抱きついた。



「來唯?」



「やっと、戻ってきてくれたんですか」