「なあ。
……今年もお菓子はナシで、いきなりキスされるって、期待した?」
「あ、う……」
玄関で出迎えたときに、私の脳裏にあった"期待"をぴたりと言い当てられて、顔がさらに赤く染まる。
こ、今年はいきなりキスされても動揺しないって決めてたはずなのに。
まさかチョコを渡されるなんて思わなくて。
リベンジしようとひそかに燃えてたのに。
なぜか押し倒されちゃって。
上半身裸の雅を見上げる格好で。
「はっきり言えよ。……千夜」
耳元での甘すぎる囁きに。
「き、たい……してた」
素直に言う以外の選択肢なんて、与えられてない。
「ふっ、だと思った」
なんだか年々彼の意地悪さが増してる気がする。
でもそれ以上に愛情も増してる気がする。
「んじゃあ、期待に応えてやらねえとな」
「え」
「夕飯は後回し」
いいだろ?と。
もう既に服の裾に手を忍ばせてる雅に。
私が言えることなど、ただひとつ。
「……やさしくしてね」



