「照れる必要なんかねえだろ。
何回も見てんのにいまさらだな」
「そ、そういうこと言わないで」
「ふうん? チョコ食わねえのか?」
「たべる、けど……」
とりあえず、解放してほしい。
じゃなきゃ羞恥心で崩れ落ちそう。
なのに、離れたくなくて。
「……いただきます」
結局抱きしめられたままチョコをひとつつまんで、口にすれば。
口の中に広がる甘さと鼻腔をくすぐる香りに、自然と頰がゆるむ。
それだけでご機嫌になっていれば、うしろから伸びてきた雅の手が、私の目の前にあった箱を、テーブルに遠ざける。そして。
「っ……!?」
強制的に振り返る様にゆるく髪を引かれて、触れるくちびる。
キスされたと気付いた時にはもう、全身が赤く染め上げられていて。
「あま、」
「っ……」
その一言でキスの際にチョコレートの甘さを共有してしまったことを知った。
熱いし、はずかしい。……なのに。



