彼女のわがままは、絶対。 姫は、総長と同じ権利を持つ。 つまり、幹部よりも地位が高い。 「……奈々ちゃんが言うなら、いいけど」 沙和は諦めたようにそう言って、麗に視線を向けた。 「麗は?」 「別に、どっちでもいい」 そう言った麗の瞳は、なぜか。 「麗……?」 ひどく哀しげだった。 私と付き合っていた頃、彼はこんな瞳(め)をする人じゃなかったのに。 「どうした、の?」 一体、彼に何があったんだろうか。 無意識に尋ねた私。 そんな私に。 「シオちゃんが、悪いんじゃん…っ」