【完】復讐の元姫




彼女のわがままは、絶対。



姫は、総長と同じ権利を持つ。



つまり、幹部よりも地位が高い。



「……奈々ちゃんが言うなら、いいけど」



沙和は諦めたようにそう言って、麗に視線を向けた。



「麗は?」



「別に、どっちでもいい」



そう言った麗の瞳は、なぜか。




「麗……?」



ひどく哀しげだった。



私と付き合っていた頃、彼はこんな瞳(め)をする人じゃなかったのに。



「どうした、の?」



一体、彼に何があったんだろうか。



無意識に尋ねた私。



そんな私に。



「シオちゃんが、悪いんじゃん…っ」