「……じゃあ、じっとしてる」
「うん」
くすっと笑って、汐乃がコンロの火をつけなおす。
後ろから抱きしめるだけでじっとしていれば、汐乃は何も言わなかった。
愛おしくて堪らない。
「ねぇ、麗」
「ん……?」
「もし、私が別れたいって言ったら、麗はどうするの?」
……は?
「汐、乃?」
「あ、うん、待って、ごめんね。
私の言い方が悪かったから、そんな顔しないで。別れたいなんて思ってないから」
「……ん」
冷静を装ってみたものの、内心戸惑ってどうしようもなかった。
別れを、告げられたら。
「絶対、別れねぇから」



