「あ、悪い」 悪いじゃない。 「バカ」 「悪かったって」 ふんっ、と拗ねる私。 「まずい」という顔をした、麗の背後で。 「ふ、ぇっ」 そんな声が聞こえた。 思わずすぐその場所に駆けよって。 「ごめんね、雅(ミヤビ)。うるさくしちゃって」 「ふえぇぇ」 「ごめんね」 よしよし、と抱きかかえてあやす。 腕の中にいるこの子は。 私が日本に戻ってきた半年後に結婚し、その1年半後に生まれた私たちの子どもである。 ちなみに、雅は男の子だ。