「お嬢様は、本来の場所にいます」
「……麗のとこ、帰ったんだ」
「元々、お嬢様の居場所は彼のもとですからね」
そうだね、と奈々は笑ったあと。
「……ねえ、お兄ちゃん。ちょっと屈んでよ」
「……なんでだよ」
「いいじゃん、別に!」
そう言う奈々のため、仕方なく屈めば。
──ちゅ
……ん?
「これで、もう邪魔はなくなったよね」
「はぁ?」
「お兄ちゃんは、奈々のだもん」
頬に触れた柔らかさは、奈々の唇だったらしい。
「おい、奈々」
「大好きだよ、お兄ちゃん」
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