「……帰って来たなら、それでいい」
「……っ」
彼の背中に、腕を回して。
強く抱きついても、彼は抱きしめ返してくれる。
「婚約断ってきたんだろ」
「……5年もかかっちゃったけどね」
「別に気にすんな」
お父様を、説得したら。
「5年、世界中で勉強したら帰れ」
その時まだ、その男がお前を好きだったら、ソイツとの婚約を認めてやる。と。
お父様はそう言ってくれて。
ハルト、は。
「5年、待ちます」
それを同じように、認めてくれた。
だから、麗が私のことを忘れていたら、ハルトの元へ行く予定だったけれど。
「もう、離れんなよ」



