お互い、想っていたのに。



「好きだった相手が、妹になったんですよ」



血の繋がらない兄妹になる、なんて。



そんな哀しいこと、私なら耐えられないと思う。



「初めは、親に隠れて一緒にいることにしましたが」



「……うん」



「それでもやっぱり、無理があると思ったんです。

そこで運良く迷い込んだ碓井グループへの婚約を受けた」




その婚約、が。



「3年間お傍にいましたが、やっぱり俺はあなたがいいと思ってます」



私との、婚約だった。



「そのせいでまさか、奈々があなたに対抗すると思いませんでしたが」



奈々は、ただ。



「奈々がダメなわけではなく、俺があなたじゃないとダメなんです。お嬢様」



ハルトのことが、好きだっただけだ、きっと。



「奈々……」