「お嬢様。

だから私は、関わらないでほしいと言ったんですよ」



聞き慣れた声に、振り返れば。



「……ハル、ト」



車で待ってます、と言っていたはずのハルトがいて。



「銃声が聞こえたモノですから、心配で出てきました」



帰りましょう、と。



ハルトが私の腕を掴む。



「か、えるって……無理」



そんな、ここでみんなを置いて帰るだなんて。




「お嬢様は最近、わがままが多すぎませんか」



「っ、」



「帰りますよ」



何も言えないで、彼に連れていかれるんだと頭で思った時。



「あと、ひとつ。

奈々、俺はもうお前のことを好きじゃないよ」



……え?