それこそ、アイツは……。 そう考えて、やめた。 「奈々」 「なぁに?凌」 アイツと同じ呼び方されてんのに、こんなにも違うものなのか、なんて。 「この間、スマホに新しい曲入れたって言ってただろ」 「ああ、うん。聴く?」 「暇だからな」 たとえ、ば。 俺や麗や時雨と同じ、で。 沙和や、梨緒が。 アイツが戻ってくるのを、待ってるんだとしたら。 「サンキュ。あとで返すわ」 「はーい」 ──きっと、俺等は。 あの頃から、何も進めてない。 【凌駕sideend】