早く終わらせないと、受験もあるし。と付け足す沙和。
たぶん沙和は、凌に勉強を教えてあげないといけないんだと思う。
「今から、俺が凌のこと呼ぶから。
梨緒は時雨をここに呼んで?」
「あ、はーい……」
「シオは、奈々ちゃんが帰ったか確認して麗を呼んでくれる?」
「……うん」
スマホを取り出して。
彼のスマホに連絡しようと思っただけで、泣きそうだった。
待ってる間のコール音だって、心臓の音を早くさせる。
『汐乃?』
優しいその声に、そのままここで泣いてしまうんじゃないかと思った。
「あ、のね。麗」
『ん?どうした?』
「奈々、って……もう帰った?」
聞いて、不安になった。
一緒にいるって言われたら、それこそ立ち直れそうにない。