ガンッという鈍い音。 それを最後に、男が倒れて。 「汐乃」 怯えていた彼女に駆け寄ろうとした俺に。 「麗っ、怖かったよ」 奈々が抱きついてきた。 「離せ、奈々」 「やだっ、怖かった」 「………」 汐乃のところに、行きたいのに。 でも、奈々は離れない。 凌は未だに呆然としていて。 「汐乃」 「………」 俺と奈々を映す瞳は、うつろだった。 俺の方に寄って来る気配もない。