口を開こうとすれば。 「シオ、まさか……。 私たちのこと、裏切ってたの……っ?」 なぜか。 奈々が泣きそうになりながら、そう尋ねた。 よく言う。 裏切り者は、自分のくせに。 「嘘だろ、シオ」 「凌、」 「せっかく、」 自分の気持ちに素直になれそうだったのに、と。 呟いた凌の言葉は、俺にしか聞こえることがないまま消えた。 ──ああ、もう。 「汐乃」 今、助けてやるから。 もう、お前のこと裏切り者だなんて呼ばせないから。